山形の冬が生んだ香物、おみ漬
山形は知る人ぞ知る、漬物王国。
その名声は、千枚漬け・しば漬など
全国に知られた京漬物に匹敵する
<西の京都、東の山形>と、言われるほどです。
流通が発達していなかった江戸時代、
山形県内陸部は恵みの多い海が遠く、
作物が育たず深い雪に閉ざされる冬の生活は
特につらく厳しいものでした。
そのため、人々はさまざな工夫をして
食べ物を保存する方法を編み出し、
各家庭それぞれの保存食である漬物が生まれました。
漬物は山形の風土、習慣を反映した伝統の食文化です。
今も愛され続けている「おみ漬」もそのひとつ。
「おみ漬」は背丈が70~80㎝にもなる
シャキシャキとした歯ごたえの青菜(せいさい)を中心に、
大根や人参などを細かく刻んで塩漬けにしたシンプルな漬物。
画像参照:おいしい山形(https://www.yamagata.nmai.org/)
画像参照:やまがたの広報写真ライブラリー(https://www.pref.yamagata.jp/020026/kensei/joho/koho/photolib-top/index.html)
その由来は一説では戦国時代、特産の「べにばな」の仲買で
山形を訪れた近江商人が考えた越冬食とされ、
「おみ漬け」の名も近江(おうみ)からきていると言われています。
また漬物を仕込む際、野菜に味しみが良くなるよう
揉みながら漬けたことから「揉み漬け=おみ漬け」になった
とも言われています。
いずれにせよ、冬の食料が限られた時代、
「おみ漬」のカラフルな色彩と程よい塩気は、
山形の食卓に欠かせない味わいであったことでしょう。
余談ですが、料理の味加減をはじめ
ちょうどいいバランスを指す意味の
「塩梅(あんばい)」も漬物に由来する言葉です。
そう考えると、漬物の文化がもたらした影響力は
食の世界だけに限ったことではないのかもしれません。
「おみ漬」には、昆布やスルメなど
旨味と食べ応えある食感を加えたタイプもあり、
生産者によって味わいが異なるのも魅力のひとつ。
味付けがしっかりしているのでご飯はもちろん、
お茶漬けやチャーハン、
パスタに合わせても美味しくいただけます。
当館の売店でも取り扱っております。
銀山温泉旅のお土産にもぜひ、ご利用ください。